2020米大統領選とドル円予想:バイデン勝利?トランプ逆転?前回選挙と比較した相場展望

米大統領選とドル円予想:バイデン勝利?トランプまた逆転?前回選挙と比較した相場展望

11月3日の米大統領選に関し、現時点では民主党バイデンが優勢ですが、市場は前回選挙でのトランプ逆転勝利を思い起こし、今回も見通し不鮮明、ドル円レートも大きく上下しうる、と予想しています。

米大統領選投開票までのドル円はどのように動くのでしょうか?前回2016年の米大統領選を振り返りつつ、今後の展開を予想します。

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今日のドル円重要材料と、高値安値メドは?

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2016大統領選:民主「圧倒的優位」での大幅円高

まずは、前回2016年の大統領選に前後したドル円相場を振り返ってみましょう。

2016年1月のドル円レートは120円前後、しかし翌2月には110円台へ下落、さらに4月には109円台まで下落しました。その後も大幅な円高が続き、6月から8月にかけては何度か100円割れの場面も見られました。


・ドル円日足 2016年(画像:TradingView)

こうした強い円高トレンドのなか、年間高値は1月の121.68、年間安値は6月の98.78と、2016年は大統領選までに約23円もの大幅円高が進んでいたことになります。

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大統領選はバイデン優位!今日のドル円重要材料と、高値安値メドは?

トランプ逆転で見えた民主党政策の「重し」

2016年大統領選までの大幅な円高展開は、中国景気の悪化や原油安、さらには英国のEU離脱決定などが背景となっていましたが、11月の大統領選を通過すると、レートは一挙に100円前半から110円前半まで円安へ戻しています。

これは、それまで民主党ヒラリー候補が優勢であった一方、選挙は共和党トランプ候補が勝利したためと考えられます。

ヒラリーは富裕層への増税などを政策として掲げていました。一方のトランプは、大規模減税を政策の目玉としていました。このため、市場からは、トランプのほうが好感される状況にありました。

選挙前はヒラリーが圧倒的優勢とされており、様々なドル安材料が並ぶなかで、大統領選見通しもレートの重しとなっていました。それが開票後トランプの逆転勝利となったことで、市場では長いリスクオフの巻き返し円安が一挙にやってきたかたちになったのです。

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トランプが支持率追い上げ、今日のドル円重要材料と、高値安値メドは?

2020大統領選:民主党優位も確証薄く相場停滞

次に、今年2020年のドル円相場を見てみましょう。

今年の相場は、2016年に比べると小動きの展開です。

直近高値はコロナ前の2月高値112.22、安値はコロナ直後の3月安値101.18で、値幅は約11円です。史上空前の経済危機とも言われたコロナショックが発生したにも関わらず、今年の値幅はまだ2016年の23円に比べて半分以下しかありません。


・ドル円日足 2020年

また、今年のドル円は、徐々に値幅が縮小していく「ペナントパターン」を形成しており、ダイナミックな値動きが起きた2016年とは大きく異なる相場環境となっています。

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選挙戦進展までエネルギー蓄積か

この背景としては、民主党が圧倒的優位とされた2016年と異なり、今年は比較的先が読めない状況が続いていることが関係していそうです。

2020年8月時点では民主党バイデンが共和党トランプを引き離し優勢とされていました。しかし9月にかけてバイデンは支持を縮小、また「現職優位」とのアノマリーがある米大統領選において、現大統領のトランプが今後支持を伸ばすのでは、との見方も強まってきており、当面は勝利がどちらに転んでも不思議ではない状況です。

さらに、2016年と同様に、民主党バイデンが富裕層などを対象とする増税政策を掲げる一方、共和党トランプは大規模減税「第二弾」をもって支持を勝ち取ろうとしています。こうなれば、市場としてはやはりトランプ支持にまわる勢力が大きくなり、11月の選挙戦が近づくにつれ支持率が逆転するとの見方も出てきています。

こうなると、次のような見方もできます。

・現在(2020年中盤まで)は選挙戦見通しがつかず、エネルギーがたまっている状態(ペナントパターン形成)
・今後(2020後半)に選挙戦見通しがついてくれば、たまっていたエネルギーが解放され上下どちらかに放れる(ペナントパターンをブレイク)

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米大統領選見通しと今日のドル円の高値安値メドは?

民主党・共和党 それぞれの勝利後シナリオ

では、2020年の大統領選で、どちらが優勢となればレートはどうなるのでしょうか?

バイデン勝利:円高リスク警戒も、下値は限定か

まず、このまま民主党バイデンが勝利した場合です。
前述のとおりバイデンは増税政策を掲げており、市場には嫌気される可能性があります。

2020年中盤までは、トランプ勝利の可能性もあると見られていたため、市場ではバイデン優勢との報にもひとまずリスクオフが抑制されていた可能性がありますが、実際にバイデン勝利見通しが固まれば、市場でため込まれていたエネルギーが円高方向(ドル売り方向)に開放され、大幅下落につながる可能性があります。

その際、下値メドとしては、ひとまず2016年につけた直近安値の98円付近が意識されそうです。

ただ一方では、バイデンはトランプほど対中強硬姿勢をとらないとの見方も出ているため、増税政策での円高が米中対立懸念の和らぎによる円安圧力でいくぶん相殺され、コロナショック時の3月安値101円付近や、7月安値104円付近まで下値メドを縮小する可能性もあります。

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トランプ勝利:ひとまずコロナ前高値を回復か

次に、共和党トランプがまたも逆転勝利となった場合です。

前回の成功パターンにならい、今回も大規模減税という「インセンティブ」を用意して支持率奪還望むトランプですが、これで目論見通り逆転勝利となれば、市場は減税による景気振興期待と、バイデン優勢による潜在的な円高圧力の巻き戻しで、ふたたび大幅円安に進む可能性があります。

ただ、コロナ禍長期化や米金利の長期低位化が米経済見通しの重しとなるなか、さらにトランプ減税は「二番煎じ」とも言え、加えて米中対立問題などといった大きなリスクもそのまま持ち越されることで、2016年のトランプ当選時ほどの上値余地は望めない可能性があります。

トランプ当選時は、ひとまずはコロナ前高値112円付近、さらに上値を伸ばせば2016年トランプ当選後高値118円付近が意識されそうです。ただ、その上となる、2016年高値121円付近や2015年高値125円付近への到達には、さらに大きな買い材料が必要となりそうです。

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米大統領選見通しと今日のドル円の高値安値メドは?

前回との共通点は「政策の違い」

2016年と2020年の相場環境を比較すると、2016年当時が英EU離脱のような悪材料をひとまず通過していたのに対し、2020年は様々な問題の結論が棚上げとなっており、レートの動きも大きく違っています。

また、2016年が民主党の圧倒的優位とされていた一方、2020年は民主党優位がそこまで確実視されていないことも、大きな違いとなります。

しかし、いずれの年も共通しているのが、民主党・共和党それぞれの掲げる経済政策の違いです。この点、増税を掲げる民主党と、減税を掲げる共和党で、少なくとも市場の反応は大きく異なりそうです。

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